WORKS事例紹介
自然に学び、創り上げた「源庭」
箱根植木 本社エントランス
HAKONE UEKI LANDSCAPE CONSTRUCTION Co.,Ltd.
既存環境を最大限活用し
“現象の源”を表現した庭
創業70年という歴史の中で、日本庭園や商業施設の緑化、文化財庭園の改修などを手がけてきた箱根植木株式会社。
造園業界大手の老舗企業から、本社室内緑化のご依頼をいただきました。
屋内と屋外では施工方法や育成方法が異なる植物の扱い。同社の「自然に学びながら、自然と共に磨き上げてゆく」理念と、インテリアデザインと植物を融合させたparkERsのノウハウを掛け合わせ、1階エントランスと2階の待合兼打ち合わせスペースを計画しました。
コンセプトに掲げたのは「源庭」。
生命の源である水、多様な生物を育む植物、歳月が造りあげた石をふんだんに用いて、さまざまな現象の源が集まる室内の庭を創りました。大開口の窓の奥から庭がエントランス内に滲み出すようなイメージで、屋外の雰囲気も感じられるように構成。元々のビルの歴史も活かしながら調和していくデザインを目指しました。
- DATA
- 弊社の業務内容:コンセプト提案、内装デザイン設計、造作什器デザイン設計・施工、植栽計画・施工、植栽メンテナンス
階段下のデッドスペースを活用し、室内の庭を表現。入室時のインパクトを大切に、屋外に広がる庭の植栽も空間の一部として魅せられるように構成しました。
植栽は同社との親和性を考慮し、外構にも使われる潜在自然植生の苗木や下草を多用しコーディネート。象徴的な石と木の気勢にもこだわり、屋内外の風景をつなぐ庭として表現しました。
シンボルツリーを回遊して進むので、歩みを進めるごとにシンボルツリーの様々な表情を間近に体感することができます。高木を見下ろす環境は自然の中には滅多にありません。既存環境を上手く活かして室内の空間だからこそできる表現を検討しました。
有機的な起伏を作り出し、自然の刻んできた年月を感じられるようなしつらえとしました。神奈川県の真鶴半島で採掘される上質な本小松石は、空間デザイナーとプランツコーディネーターが実物を見ながら選定したもの。内装にもマッチする石の風合いや、経年変化する色の美しさが感じられます。
植栽帯にはparkERsならではの水が湧き出る什器も設置。光が反射しきらめく水面の動き、絶えず空間に響きわたる水音。美しい自然の現象が生まれます。
水面パネルで水の連鎖を表現。光の反射や葉がそよぐ姿が映り込み、本物の水のような印象を与えます。
ふんだんに用いた石の中でも、特に印象的な存在。「暦石」と名付けて提案した、中央に凹みのある石です。雨が降ると水が溜まるような形状は自然の産物。石本来の割れ目や時間とともに形成された自然的な形状はアートのような存在感があります。
さまざまな現場に赴いた社員が、再び帰ってきて集う本社だからこそ、青葉、紅葉、旬花、実ものなど、季節とともに移ろう剪定した材をそっと暦石に添えて、四季折々の風情を分かち合うコミュニケーションツールとして活用してほしい、そんな想いを込めました。
1階と2階をつなぐ手すりの植栽帯。階段をのぼるごとに見えてくる空間への期待感と、打ち合わせスペースを利用している人の目線の先に、豊かな植物が映り込むように構成。
待合や打ち合わせスペースとして利用されていた空間を、植物を取り入れながら再構成。植物がパーテーションとなりデスクを柔らかく仕切ります。
植物の柔らかさと木を基調とした温もりのある素材選びで、緊張感を緩和。ミーティングスペースとしてはもちろん、気分転換したいときには個人の作業スペースとしても。
電話台には立ち上がりをつくり、受付スペースとして差別化。来客時のふとした瞬間にも、植物や石の素材感を感じられて、企業の個性を表現できる場に。