parkERs

STAFFスタッフ紹介

空間デザイナー Spatial Designer 二反田 彩 Aya Nitanda

美術大学で、絵画を専攻しながらインスタレーションを修士まで学ぶ。
卒業後、アートで培った感性を生かすべくparkERsへ。
植物の美しさや強さを再確認し、新しい見方を発見していただけるような空間を表現したいです。

絵画やインスタレーション制作に打ち込んだ学生時代

学生時代は美大で油絵を専攻していました。油絵を選んだのは、一番自由度が高く、いろいろな表現に挑戦できる分野だと聞いていたからです。私も入学して油絵を2年ほど学んだ後は、「インスタレーション」の制作をメインに行うようになりました。インスタレーションは、その場にいる鑑賞者を巻き込みながら、ものやそれを置く空間そのものを作品として“体感”してもらう表現方法。私のつくるインスタレーションは動物や植物をモチーフにしたものが多く、現在の仕事にも通じるものがあったように思います。
 例えばあるとき、家の周りの空き地が開発によってどんどんなくなっていることに気付き、「緑が生い茂っていてきれいだったのに……」と寂しさを感じたことがありました。そこで、空き地に自生していた50種類以上の植物をひと夏かけて全て調べ上げ、一つひとつの葉脈を写し取り大きな台に並べて、空き地に生きていたものを再現するインスタレーションを制作したんです。学生時代のこうした経験が、仕事の中でも大いに役立っていますね。

何気ない日常に目を凝らすと、デザインのヒントが落ちている

室内緑化に取り組む上で、特にこだわっているのが色や陰影です。植物は生きているので、葉の色も一枚一枚違ってきますし、照明によって影の色合いも全く変わって見えてくる。暗い影が落ちていたら室内に冷たい印象を与えたり、淡い影は落ち着く印象を与えたりもする。絵画を専門的に学んでいた強みを生かして、色彩の繊細な違いまで意識したデザインを心がけています。 
 日常の何気ないワンシーンから、アイデアを得ることも多いです。例えば、アスファルトに舞い落ちる枯れ葉に、夕焼けが反射して美しくきらめく瞬間。学生時代には、道端に横たわっていた鳥の羽の美しさにインスピレーションを受けて、作品を制作したこともあります。目を凝らさないとスルーしてしまいそうな“何か”を発見できたときに、私は喜びを感じるんです。何気ない日常の中に散らばっているものを一つずつ大切に拾い上げ、デザインに落とし込んでいるイメージですね。
 お客さまへのご提案の際にも、できるだけその人の日常を聞き出すようにしています。最近目にしたもの、耳にした話題、どんな些細なことも大切な材料です。「最近こんな映画を観て、それがとても良かった」なんて話を聞いたら、実際にその映画を鑑賞して、印象的なシーンの色合いをデザインに取り入れることも。何気ない会話の中から、何か一つでもお客様にとって大切なものを拾えたら、より琴線に触れるデザインに近づけるのではないでしょうか。

アートの世界に身を置いていた強みを生かしたい

今まで私は、アートとデザインは似て非なるものだと考えていました。デザインはあくまでも機能や目的ありきで、それを利用する人に明確な答えを提示するもの。一方でアートは、それを鑑賞する人に新しい視点を与えることが重要で、むしろ鑑賞者に問いを投げかけるようなものです。だけど最近では、アートとデザインが混じり合った空間も増えてきている。建築家と企業が組んでインスタレーションを行うなど、「ミラノサローネ」でも多く見られますよね。SNSに写真をアップしてもらうことを前提としたインパクトある空間デザインも増えていて、企業PRにも非常に効果的です。
 植物を取り入れた空間デザインにも同じことが言えます。例えばオフィスやエントランスなど企業の顔となる空間に植物を取り入れることで、自社のブランディングにもつながる。また心地いい職場環境をつくり上げることで社員の満足度が向上し、リクルート効果も期待できるはずです。
 単にいいデザインは、もう世の中に出尽くしていると先輩に言われたことがあって。だからこそ新しい“体験”を提供してくれるデザインが今、強く求められているのだと思います。そしてそれは、アートに親しんできた私が強みを発揮できる領域でもある。自分のバックグラウンドを生かしながら、parkERsとして提供できるデザインの“幅”をこれからさらに広げていきたいですね。

金木犀(キンモクセイ)

美大の卒業論文のテーマが、「見えないものを可視化する」というものでした。金木犀の匂いを嗅いだときに、以前嗅いだときに見た秋の風景がふわっと思い出されることがあって、まさに卒論のテーマそのものだと思ったんです。金木犀みたいに人の心の奥深く、芯の部分まで浸透してくる植物はすごいなあと感心してしまいますね。

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