COLUMNコラム
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屋上緑化とは?メリット・デメリットと失敗の原因、植物の選び方を事例とともに解説
屋上が、人の集まる公園になる(たまプラーザ テラス ノースプラザ3F庭園「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
はじめまして。parkERsで広報を担当している森です。屋上緑化は「雨漏りが心配」「虫が出そう」といった不安の声をよく伺います。そこから順にお話ししますね。
建物のいちばん上に、使われていない広い面がある。眺めがよくて、日当たりもいい。それなのに、設備機械が置かれているだけで誰も上がらない。
屋上緑化は、その余っている面を人の居場所に変える手法です。ただ、調べはじめるとデメリットの情報が次々に出てきます。建物に負担がかかるのではないか。雨漏りしないか。虫が増えないか。維持が大変なのではないか。
どれも、もっともな心配です。そしてその多くは、設計の段階で解いておけることでもあります。この記事では、屋上緑化のメリットとデメリットを整理したうえで、失敗の原因がどこにあるのか、実際のプロジェクトでどう解いているのかをお伝えします。書き手は、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、1,000社以上の法人との取引実績をもつ空間デザインブランド・parkERs(パーカーズ)です。
屋上緑化とは — 意味と対象になる建物
屋上緑化とは、建物の屋上に植物を植え、環境負荷の軽減と空間価値の向上を図る手法です。読み方は「おくじょうりょっか」。芝生やセダムで屋根面を覆う省メンテナンス型のものから、人が上がって過ごす庭園・公園のようなものまで、幅があります。
対象になるのは、オフィスビル、商業施設、マンション、学校、病院、工場など、屋上を持つほぼすべての建物です。新築時に計画することもあれば、既存の建物を改修して導入することもあります。
わたしたちparkERsは、屋上緑化を「建物の上に公園をつくること」と捉えています。公園とは、樹木や草花、土や水といった風景だけでできているのではなく、そこで過ごす人がいてはじめて公園になる。つまり「公園=風景+人」。屋上に緑を敷くことがゴールではなく、そこに人が上がってきて時間を過ごすところまでを設計します。

屋上に緑を敷くだけでなく、人が過ごすところまで設計する(たまプラーザ テラス「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
屋上緑化のメリット
屋上緑化が選ばれる理由を、実際のご相談でよく挙がる順に整理します。
使える面積が増える。これがいちばん大きな理由です。都市部では敷地に余裕がなく、新たに庭をつくる土地はありません。屋上は、すでにある面積を使い方次第で居場所に変えられます。オフィスなら休憩やミーティングの場に、マンションなら住民の共用部に、商業施設なら滞在時間を伸ばす場になります。
建物の価値が変わる。テナント獲得や住戸の販売において、共用部の質は判断材料のひとつです。屋上に人が過ごせる場所があることは、他の建物との違いになります。
環境への効果が期待できる。植栽と土壌による断熱効果、ヒートアイランド現象の緩和、雨水の一時貯留といった効果が挙げられます。自治体によっては緑化を推進する制度が設けられています。
過ごす人のコンディションに効く。自然の要素が人の心身に与える影響は、研究でも繰り返し確かめられてきました。その背景にある考え方はバイオフィリックデザインの解説記事で研究データとあわせて紹介しています。
もうひとつ、見落とされがちな効果があります。建物の見え方が変わることです。近隣の高い建物から見下ろされる屋上は、設備機械が並ぶ灰色の面として目に入ります。そこが緑になるだけで、まちの風景に対する建物の印象が変わります。周辺にマンションやオフィスビルが建ち並ぶ立地ほど、この効果は大きくなります。

使われていなかった面が、働く人の居場所になる(KITOKI/parkERs施工事例)
屋上緑化のデメリットと失敗の原因
ここからが本題です。屋上緑化を検討する方が最も気にされるのが、乗り越えなければならないハードルと失敗のリスクでしょう。順に見ていきます。重要なのは、どれが「設計で解けること」で、どれが「事前に確認が要ること」かを切り分けることです。
屋上緑化のハードル① 荷重の制約
屋上には積載できる重さの上限があります。土壌と植物、そして水を含んだときの重量が、建物の構造が許容する範囲に収まっていなければなりません。大きな木を植えたいと思っても、必要な土の深さと重さが条件を超えてしまうことがあります。
これは事前確認が要る項目です。建物の構造図を確認し、設計者や管理会社と荷重条件をすり合わせたうえで、植栽の計画を組みます。逆に言えば、条件が分かっていれば、その範囲で何ができるかを設計できます。軽量な土壌を使う、樹木を配置する位置を構造的に有利な場所に寄せる、といった方法があります。
注意したいのは、植物そのものより土と水の重さが大きいことです。土壌は水を含むと重量が増すため、乾いた状態ではなく最も重くなる状態で計算します。また、人が集まる場所をつくるなら、利用者の重さも荷重に含めて考える必要があります。

建物の構造条件を読んだうえで、植栽の量と位置を決める(KITOKI/parkERs施工事例)
屋上緑化のハードル② 防水層と根の問題
屋上緑化で最も警戒されるのが、雨漏りです。植物の根が防水層を傷めるのではないか、という不安はもっともなもので、実際に耐根性能のある防水層を選ぶことが前提になります。既存の建物に後から導入する場合は、現在の防水層の状態と残りの耐用年数を確認しておく必要があります。
防水の改修時期と緑化の計画がずれていると、数年後に緑を一度撤去して防水をやり直すことになりかねません。これも事前確認の項目です。建物の修繕計画と合わせて検討すると、無駄が出ません。

荷重と防水の条件を踏まえたうえで、使い方を設計する(パークシティ高田馬場/parkERs事例)
屋上緑化のハードル③ 排水と乾燥
屋上は、地面とまったく違う環境です。土の量が限られているため乾きやすく、風が強く当たり、夏は照り返しで高温になります。一方で、排水がうまくいかないと水が滞留して根が傷みます。乾燥と過湿、両方に備えなければならないのが屋上の難しさです。
ここは設計で解ける部分です。排水層と排水経路を計画に組み込み、灌水の仕組みを用意する。土壌の厚みと保水性を樹種に合わせて決める。これらを後から足すのは難しいので、最初の設計に入れておきます。

乾燥と過湿の両方に備えて、土壌と排水を計画する(たまプラーザ テラス「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
屋上緑化のハードル④ 虫への不安
「緑を増やすと虫が出るのでは」という心配もよくいただきます。植物があれば生きものが来るのは自然なことですが、不快な虫が増えるかどうかは管理の仕方で変わります。
落ち葉や枯れた植物を溜めない、水が滞留する場所をつくらない、定期的に手を入れる。これらができていれば、不快な状況にはなりにくくなります。これは維持の体制の話であり、設計と運用の両方で解く項目です。parkERsでは独自に開発した土「parkERs soil」を使うこともあります。山の土を含まない配合のため、虫が発生しにくい点が特徴です。
設計でできることもあります。水たまりができない排水計画にすること、落ち葉が溜まりやすい隅をつくらないこと、手入れのために人が入れる動線を確保しておくこと。掃除しやすい形にしておくことが、いちばんの対策になります。

掃除しやすい形にしておくことが、いちばんの対策になる(パークシティ高田馬場/parkERs事例)
屋上緑化のハードル⑤ 維持の手間とコスト
植物は生きているので、放っておけば姿が変わります。剪定、施肥、水やり、落ち葉の片づけ。屋上の場合、作業に上がる動線や安全の確保も必要です。
そして最も多い失敗が、初期費用だけで判断して、維持の体制を決めないまま進めてしまうことです。竣工後に誰がどう手を入れるのかが決まっていないと、数年で荒れた風景になってしまいます。設計の段階で、維持を担う人と頻度まで決めておくことをおすすめします。
そしてもうひとつ、屋上緑化で本当に避けたい失敗があります。つくったのに誰も上がらない屋上になることです。緑は敷かれているけれど、日陰がない、座る場所がない、上がる動線が分かりにくい。そうした屋上は、きれいに維持されていても使われません。ハードルへの対処と同じくらい、「どう使われるか」を設計しておくことが大切です。

「どう使われるか」まで設計しておく(イニシア南浦和根岸/parkERs施工事例)
ハードルを並べると不安になりますよね。でも、ほとんどが「知らずに進めると困ること」なんです。最初に分かっていれば、設計で手が打てます。
屋上緑化の事例 — マンション・オフィスビル・商業施設
ここからは、わたしたちが実際に関わったプロジェクトを紹介します。
屋上緑化の事例① パークシティ高田馬場 — 「時を想う屋上公園」
約8,200平方メートルもの広大な敷地は、時計ブランド「シチズン」の発祥の地であり、「シチズンプラザ」として地域の方に愛されてきた場所です。そんな土地柄にちなみ、parkERsは「時を想う屋上公園」をコンセプトに、ルーフトップガーデンのデザイン企画協力を行いました。日時計エリアをはじめ、プレイパークやグランピングエリアなど5つのエリアで構成し、「時間」をモチーフにしたコーディネートを施しています。屋上を単一の広場にするのではなく、過ごし方の違うエリアを用意することで、住む人それぞれの時間が生まれます。詳しくはパークシティ高田馬場の事例ページへ。

屋上を5つのエリアに分け、過ごし方を変える(パークシティ高田馬場/parkERs事例)
屋上緑化の事例② イニシア南浦和根岸 — 最上階のスカイパーク
厳密には屋上緑化ではありませんが、最上階の部屋そのものを公園のように使うという考え方もあります。屋上に上がれない建物や、荷重・防水の条件が厳しい建物では、この発想が現実的な選択肢になります。
マンション「イニシア南浦和根岸」のエントランスホールと、特徴的なスカイパークの空間デザインを担当しました。最上階にあるスカイパークは入居者のためのパブリックスペース。外につながるテラスやトップライトで光や風を感じながら、まるで空にいるかのような開放感を演出した空間です。幾重にも重なり自由に浮遊する雲をイメージした家具、霧とミラーで広がりを感じる壁面などにより、利用者に応じたフレキシブルな空間を構成しました。
マンション全体を通したコンセプトは「空から雨が降り、大地を潤し、空気が冷やされて霧になる」。空と大地をつなぐ水と植物の循環を建物全体で表現しています。parkERsはスカイパークとエントランスホールの基本設計から、内装デザイン監修、植栽計画・施工、什器設計・施工、植栽メンテナンスまでを担当しました。詳しくはイニシア南浦和根岸の事例ページへ。

屋上階そのものを、空にいるような居場所にする(イニシア南浦和根岸/parkERs施工事例)
屋上緑化の事例③ KITOKI — 木造ハイブリッドビルの屋上
2022年4月に竣工した10階建ての木造ハイブリッドビル「KITOKI」。SRC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、3層ごとの木造建築を組み合わせたハイブリッド構造が特徴です。各フロアに「木」「風」「水」のコンセプトを設定し、人や働き方によって自然とともに変化していくオフィス空間をつくりました。
入居者が自由に使える屋上では、ベンチとプランターに秋田県の「東証上場の森」の木材を使用し、木質間豊かな空間にしています。parkERsは内装設計デザイン(セットアップオフィスフロア・屋上)、植栽デザイン、企画・コンセプトメイキング、設計・施工、植栽メンテナンスを担当しました。サーキュラーエコノミーの実践や「東証上場の森」との連携など、建物の思想そのものが自然と調和しているプロジェクトです。詳しくはKITOKIの事例ページへ。

建物の思想と屋上の使い方をそろえる(KITOKI/parkERs施工事例)
屋上緑化の事例④ たまプラーザ テラス「コモンフィールド」 — 屋上全体の植栽計画
約40年にわたり地域に愛されてきた複合商業施設「たまプラーザ テラス」のリニューアル工事で、parkERsは屋上全体の植栽計画を担当しました。目指したのは「街の人が集い、それぞれが心地よく過ごす大きな庭」。四季の変化を間近にありのままに感じながら過ごせるよう、屋上全体で約70種類以上の多種多様な樹種を選定・配置し、多様な遊び方や過ごし方ができる植栽コーディネートを提案しています。商業施設の屋上は、滞在時間を伸ばす場として機能します。詳しくはコモンフィールドの事例ページへ。

屋上全体で約70種類以上の樹種を使い分ける(たまプラーザ テラス「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
このほかの事例はparkERsの施工事例一覧からご覧いただけます。
屋上緑化の植物の選び方
屋上は、地面とくらべて環境が厳しい場所です。植物選びは「好きな木」から入るのではなく、その屋上の条件に耐えられるかから考えます。
セダムなど省メンテナンス型と、人が使う屋上の違い
屋上緑化でよく使われるのがセダムです。乾燥に強く、土壌が薄くても育ち、軽量に収まります。芝生も、人が歩く屋上では選ばれます。
ただし、これらは屋根面を覆うことが目的の緑化に向いた選択です。断熱やヒートアイランド対策が主目的で、人が上がらない屋上であれば、セダムによる緑化は合理的です。
セダムは乾燥に強い一方で、踏まれることには弱いという性質があります。人が歩く前提の場所に敷くと、動線上だけ傷んでいくことになります。歩く場所にはデッキや舗装を設け、緑は見る場所に配置する。こうした使い分けも設計の一部です。
一方、人が過ごす屋上をつくるなら、植物の選択肢は変わります。木陰をつくる樹木、季節の変化が分かる多年草、腰を下ろしたときに視界に入る下草。たまプラーザ テラスで約70種類以上を使い分けたのは、過ごし方に変化をつけるためでした。どちらが良いという話ではなく、その屋上を何に使うかで、選ぶべき植物が変わります。

何に使う屋上かで、選ぶ植物が変わる(たまプラーザ テラス「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
屋上の環境条件に合わせる
選定の前提になるのが、その屋上の条件です。日射が一日中当たるのか、建物の影になる時間があるのか。風がどれだけ強く当たるのか。土壌の厚みをどれだけ取れるのか。灌水を引けるのか。これらを読んでから、耐えられる樹種を絞り込みます。
風は特に見落とされがちです。地上では問題にならない強さでも、高層階の屋上では植物が傷みます。風を遮る植栽やフェンスを計画に入れることもあります。

日射・風・土壌の厚みから、使える植物が決まる(パークシティ高田馬場/parkERs事例)
屋上緑化の費用を左右する要素
費用は建物と計画の条件によって幅が大きいため、一概に「㎡いくら」とは言えませんが、見積もりを左右する主な要素は決まっています。
- 面積と植栽のつくり込み — 単一植栽で屋根面を覆うのか、人が過ごす庭園にするのかで大きく変わります
- 防水の扱い — 既存の防水層を活かせるか、改修が必要か。耐根層の新設が要るか
- 土壌の厚みと量 — 樹木を植えるなら深さが要り、重量も増えます
- 灌水設備 — 自動灌水を入れるか、給水をどこから引くか
- 安全対策・動線 — 手すり、転落防止、メンテナンス用の動線や設備
- 什器とデッキ — ベンチ、デッキ、シェードなどをどこまでつくるか
- メンテナンス契約の範囲 — 竣工後の維持をどこまで含めるか
屋上緑化で特に注意したいのが、2つめの防水です。既存建物で防水の改修が必要になると、緑化そのものより大きな費用がかかることがあります。だからこそ、建物の修繕計画と合わせて検討すると無駄が出ません。

つくり込みの度合いが、費用と使われ方の両方を決める(たまプラーザ テラス「コモンフィールド」/parkERs施工事例)
見積もりを早く正確にもらうために
相談の前に次の情報が揃っていると、概算までの時間が短くなります。
- 屋上の面積と、現況の写真
- 建物の構造図(積載荷重が分かるもの)
- 防水層の種類と、直近の改修時期
- 給水・排水・電源を引けるか
- 人が上がる想定か、設備だけの屋上か
- 竣工後、誰が維持を担当する想定か
すべてが分からなくても構いません。分かる範囲でお伝えいただければ、不足分は現地で確認します。

条件が揃うほど、概算までの時間は短くなる(大手町ファーストスクエア ファーストスクエアガーデン/parkERs施工事例)
屋上緑化の補助金・助成制度
自治体によって、屋上や壁面を含む緑化に対する助成制度が設けられている場合があります。対象となる緑化の面積や工法、申請の時期は自治体ごとに異なり、年度によって内容が変わることもあります。
注意したいのは、多くの制度が工事の着手前に申請を必要とする点です。工事が始まってからでは対象外になることがあるため、計画地の自治体の最新情報を、設計内容が固まる前に確認しておくことをおすすめします。
制度の有無や内容は計画地によって変わるため、この記事では具体的な制度名や金額には触れません。自治体の緑化担当部署に直接問い合わせるのが、最も確実で早い方法です。

制度の確認は、設計が固まる前に(イニシア南浦和根岸/parkERs施工事例)
屋上緑化の進め方
parkERsでは、次の流れでプロジェクトを進めています。
- 課題抽出 — その屋上で何を起こしたいか、誰が使うのかを言葉にする
- 現況確認 — 荷重、防水、排水、給水、動線、風と日射の条件を読む
- コンセプト・デザイン提案 — 過ごし方のイメージと植栽の方向性を共有する
- 設計 — 植栽、土壌、灌水、什器、安全対策まで含めて図面化する
- 施工 — 防水や下地の工事と調整しながら仕上げる
- 植栽メンテナンス — 「育てるメンテナンス」で屋上を育てていく
相談のタイミングは早いほど選択肢が広がります。新築なら構造設計の段階で、既存建物なら大規模修繕の計画と合わせて。防水や荷重は建物の根幹に関わるため、後から変更するのが難しい部分です。サービスの詳細はparkERsのサービス紹介ページにまとめています。

構造や防水の条件が分かれば、その範囲で設計できる(イニシア南浦和根岸/parkERs施工事例)
屋上緑化のよくある質問

建物に挟まれた空間も、使われる場所になる(大手町ファーストスクエア ファーストスクエアガーデン/parkERs施工事例)
屋上緑化の費用はどのくらいかかりますか?
面積とつくり込みの度合い、防水の扱い、土壌の厚み、灌水設備、安全対策、メンテナンス契約の範囲によって大きく変わるため、まずは屋上の現況を拝見して概算をお出しするのが確実です。特に既存建物では、防水の改修が必要かどうかで総額が大きく動きます。屋上の面積と写真、防水層の改修時期をお知らせいただけると、初回から具体的なお話ができます。
屋上緑化で雨漏りしませんか?
耐根性能のある防水層を選び、排水経路を適切に計画すれば、緑化が直接の原因で雨漏りする事態は防げます。注意が必要なのは既存建物の場合で、現在の防水層の状態と残りの耐用年数を確認しておく必要があります。防水の改修時期と緑化の計画がずれていると、数年後に緑を撤去して防水をやり直すことになりかねません。建物の修繕計画と合わせてご相談ください。
屋上緑化で虫が増えませんか?
植物があれば生きものは来ますが、不快な状況になるかどうかは管理の仕方で変わります。落ち葉や枯れた植物を溜めない、水が滞留する場所をつくらない、定期的に手を入れる。この3つが守られていれば、過度に心配する必要はありません。parkERsでは山の土を含まない独自の土「parkERs soil」を使うこともあり、虫が発生しにくい配合になっています。
既存の建物でも屋上緑化はできますか?
条件が揃えばできます。新築より確認すべき項目が増えます。積載荷重の余裕がどれだけあるか、防水層の状態と耐根性能、給水や排水を新たに引けるか、人が上がる動線と安全対策。これらを現地と図面で確認したうえで、できる範囲を整理します。大規模修繕のタイミングと合わせると、防水工事と一体で進められるため効率的です。
屋上緑化にセダムと芝生のどちらを使うべきですか?
その屋上を何に使うかで決まります。人が上がらない屋上で、断熱やヒートアイランド対策が目的なら、乾燥に強く軽量なセダムが合理的です。人が歩いて過ごす屋上なら芝生が候補になりますが、踏圧と水やりの体制が要ります。一方、木陰や季節感のある場所をつくりたいなら、樹木や多年草を含めた構成になります。目的が決まれば、選ぶべき植物も決まります。
屋上緑化に補助金は使えますか?
自治体によって助成制度が設けられている場合があります。対象となる緑化の面積や工法、申請時期は自治体ごとに異なり、年度によって内容が変わることもあります。多くの制度は工事の着手前に申請が必要なため、設計内容が固まる前に計画地の自治体の最新情報をご確認ください。
屋上緑化のメンテナンスはどのくらい必要ですか?
植栽の内容によります。セダム中心の屋根面緑化と、樹木や多年草のある庭園型では、必要な手入れの頻度も内容も変わります。共通して重要なのは、竣工後に誰がどう手を入れるのかを設計の段階で決めておくことです。屋上は作業に上がる動線と安全の確保も必要になるため、維持の計画を後回しにすると続きません。
屋上だけでなく、建物の中や壁面の緑化も相談できますか?
できます。parkERsは空間デザイナーとプランツコーディネーターがチームを組み、屋内外の両方を手がけています。屋内の緑化や壁面緑化については屋内緑化・室内緑化と壁面緑化の記事で、建物の外に広がる空間の設計についてはランドスケープデザインの記事で紹介しています。
まとめ — 屋上を、使われる場所にする
屋上緑化とは、建物の屋上に植物を植え、環境負荷の軽減と空間価値の向上を図る手法です。ハードルとして挙げられる荷重・防水・排水・虫・維持は、どれも実在する論点ですが、多くは設計の段階で解けること、そして事前に確認しておけば対処できることでもあります。
そして、本当に避けたい失敗は別のところにあります。緑を敷いたけれど誰も上がらない屋上になってしまうこと、維持の体制を決めないまま進めて数年で荒れてしまうこと。だからわたしたちは、「屋上に何を植えるか」の前に「その屋上で、どんな時間が生まれてほしいか」から考えます。
最初は楽しそうに使っていただけても、過ごす理由がなければ人は使い続けてくれません。休めるベンチや日陰、そこで時間を過ごすための理由があれば、人はその場所にとどまり、植物の変化や自然の移ろいに気づいてくれます。屋上を使われる場所にするというのは、そういうことだと考えています。
わたしたちparkERsは、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、空間デザイナーとプランツコーディネーターのチームで、建物の上につくる公園をお手伝いしています。parkERsのフィロソフィーもあわせてご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「うちの屋上、何かできますか」というご相談、現況の写真を1枚いただくところから始められますよ。
屋上の活用をご検討でしたら、屋上の面積や現況の写真、建物の条件も含めて、まずはお聞かせください。構想の段階からでも歓迎です。
この記事を書いた人

森 美波(Mori Minami)
株式会社パーク・コーポレーション parkERs(パーカーズ)クリエイティブ室 PR
parkERsは、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、オフィスをはじめ室内外に“公園”をつくる空間デザインブランド。2013年、「青山フラワーマーケット」を運営する株式会社パーク・コーポレーションのもとで、Aoyama Flower Marketの姉妹ブランドとして生まれた。
2017年に株式会社パーク・コーポレーションへ入社。空間デザイン事業部「parkERs」で、「公園のここちよさ」を体現する空間づくりの実務に携わる。空間デザインとカフェ部門の広報を務める傍ら、国内外に展開する「青山フラワーマーケット」を含めた全社的なインターナルコミュニケーションの活性化にも従事。現在はparkERsのPR担当として、オウンドメディアの運営やコラム執筆、イベント企画などを通して、「人と植物のここちよい関係性」を広げるために活動している。