COLUMNコラム
GREENING
オフィス緑化とは?「どう配置するか」で決まる効果と事例・費用の考え方を解説
シンボルツリーが、オフィスビルの起点になる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
はじめまして。parkERsで広報を担当している森です。オフィス緑化は「何を置くか」より「どう配置するか」で効果が変わります。今回はそこを中心にお話しします。
オフィスに緑を入れたい。社員が働く環境をよくしたいし、来客にも気持ちのいい場所だと思われたい。そう考えて調べはじめると、「生産性が向上する」「ストレスが軽減される」といった効果の話が次々に出てきます。
効果があるのは、そのとおりです。ただ、同じ予算で同じ量の植物を入れても、置く場所によって結果はまったく変わります。誰の目にも入らない隅に大きな木を置くより、毎日全員が通る動線に小さな緑を置くほうが、空気は確実に変わります。
この記事では、オフィス緑化の方法と効果を押さえたうえで、どこに何を置くかという設計の考え方を中心にお伝えします。あわせて実際のプロジェクトの事例、失敗させないための要点、費用を左右する要素まで。書き手は、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、1,000社以上の法人との取引実績をもつ空間デザインブランド・parkERs(パーカーズ)です。
オフィス緑化とは — 意味と主な方法
オフィス緑化とは、働く場所に植物を計画的に取り入れ、そこで過ごす人の時間と空間の価値を高める取り組みです。
わたしたちparkERsは、オフィス緑化を「オフィスの中に公園をつくること」と捉えています。公園とは、樹木や草花、土や水といった風景だけでできているのではなく、そこで過ごす人がいてはじめて公園になる。つまり「公園=風景+人」。緑をどれだけ置くかではなく、そこで働く人にどんな時間が生まれるかが問われます。
だから、オフィス緑化で最初に決めるのはそのオフィスで、誰に、どんな時間を過ごしてほしいのかです。集中したいのか、話しやすくしたいのか、来客に印象を残したいのか。目的が決まれば、置く場所も、必要な緑の量も、おのずと決まっていきます。

オフィスの中に、公園のような居場所をつくる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
オフィス緑化の主な方法
手法はいくつかあり、予算や建物の条件によって組み合わせます。
| 方法 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 観葉植物の設置 | 移動できる。小さく始められる | まず試したい/賃貸で原状回復の条件が厳しい |
| 什器一体型の植栽 | カウンターやデスクに組み込む | 床面積を使わずに緑を増やしたい |
| 壁面緑化(グリーンウォール) | 壁という大きな面を使う | 来客動線やエントランスで印象をつくりたい |
| 植栽帯・プランター | 床に植栽の島をつくる | ゾーニングや動線の誘導も兼ねたい |
| 屋上・テラスの緑化 | 屋外空間を居場所にする | 屋上が使われていない/外に出られる場をつくりたい |
どれかひとつを選ぶというより、実際のプロジェクトでは複数を組み合わせます。エントランスは壁面緑化で印象をつくり、執務エリアは什器一体型で床を使わずに緑を足し、休憩スペースには植栽帯で囲まれた居場所をつくる。場所ごとに役割が違うので、手法も変わります。
それぞれの詳しい進め方は、屋内緑化・室内緑化と壁面緑化の記事と屋上緑化の記事にまとめています。

手法を組み合わせて、場所ごとに役割をつくる(NAKANIWA/parkERs施工事例)
オフィス緑化の効果
効果は大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。中で働く人に効くものと、外に向けて働くものです。

緑のある場所には、人が自然に立ち止まる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
働く人のコンディションに効く
緑が人の心身に与える影響は、研究でも繰り返し確かめられてきました。自然の要素を取り入れた職場では、幸福感・生産性・創造性が高いという国際調査の報告があります。詳しい研究データと、その背景にあるバイオフィリックデザインという考え方は、バイオフィリックデザインの解説記事で紹介しています。
ただ、現場で実感するのはもう少し手前の変化です。「あの緑のそばの席が人気なんです」という声。集中が切れたときに顔を上げる先に緑があること。休憩スペースに人が集まるようになり、部署を越えた立ち話が生まれること。数字になる前に、まず空気が変わります。
とくに在宅勤務が選べる会社では、出社する理由を会社側がつくれるかが問われるようになりました。家より気持ちよく働ける場所であること。人に会いに行きたくなる場所であること。緑はそのための、わかりやすい手がかりのひとつです。

顔を上げた先に緑があること(トヨタ自動車 次世代BEV開発部門 Genki空間®/parkERs施工事例)
採用とブランディングに効く
オフィスの写真が、会社の姿勢を言葉より先に伝える時代になりました。採用サイトに載せる一枚、面接に来た学生が最初に見るエントランス、取材で撮られる場所。緑のあるオフィスは「働き手を大切にする会社」というメッセージとして、社外にも働きかけます。
ビルオーナーにとっても同じです。テナント獲得競争の激しいエリアでは、エントランスや共用ラウンジの質がビル選びの判断材料になります。共用部のオフィス緑化は、ビルそのものの競争力への投資でもあります。

来客が最初に見る風景が、会社の印象をつくる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
オフィス緑化は「どう配置するか」で決まる
ここが本題です。オフィス緑化のご相談でいちばん多い質問は「何を置けばいいですか」ですが、わたしたちが先に考えるのはどう配置するかです。
同じ本数の植物でも、配置によって効果はまったく変わります。起点になるのは、その空間で何を実現したいかです。集中できる場所にしたいのか、人が集まる場所にしたいのか、来客に印象を残したいのか。実現したいことが決まれば、どこに、どれくらいの密度で緑を置くかも決まっていきます。
だから設計の前に、わたしたちは実際にフロアを歩きます。朝、人がどこから入ってどこへ向かうか。昼、どこで休むか。打ち合わせに行くときにどこを通るか。人の動きを把握してから、植物の場所を決める。この順番を変えるだけで、同じ予算でも結果が変わります。

席数を減らさずに、視界の風景を変える(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
エントランス — 来客と社員全員が毎日通る
最も投資対効果を感じやすいのがエントランスです。来客の第一印象をつくる場所であり、同時に社員全員が毎日必ず通る場所でもあります。ここに緑があるかどうかで、会社の印象は大きく変わります。
エントランスは面積のわりに滞在時間が短い場所なので、一瞬で伝わる強さが必要になります。背の高いシンボルツリーを一本据える、壁面を使って視界いっぱいの緑をつくる。様々な気づかせ方があります。
「まずはエントランスだけ」というご相談は実際とても多く、効果を確かめてから広げていく進め方は合理的です。

一瞬で伝わる強さをつくる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
執務エリア — 視線の先に置く
執務エリアでは、床置きの大鉢を部屋の隅に置くより、デスクに座ったときの視線の先に緑があるほうが効きます。モニターから顔を上げたとき、通路を歩くとき、振り返ったとき。人の目が自然に向かう場所に緑を配置します。
床面積を減らしたくない場合は、什器一体型の植栽や吊りの緑、パーテーション代わりのグリーンという方法があります。席を1つも減らさずに、視界の風景を変えられます。
加えて、緑は視線をやわらかく遮る道具にもなります。向かい合った席のあいだに低木を一列入れるだけで、目が合い続ける気づまりが和らぐ。会議スペースと執務席のあいだに緑の仕切りを置けば、壁を立てずにゾーンが分かれる。パーテーションで区切ると閉塞感が出てしまう場所でも、植栽なら視線だけを切ることができます。

壁を立てずに、視線だけをやわらかく分ける(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
リフレッシュスペース・会議室 — 過ごし方で緑を変える
同じフロアでも、場所によって求められるものは違います。集中する場所、会話する場所、休む場所。それぞれの目的に合わせた植栽コーディネートを施します。
休憩スペースでは、植物が包み込むようにすると居心地が生まれます。会議室では、視界の端に緑があると張りつめた空気がゆるみます。その場所で人がどう過ごすかを決めてから、緑の密度を決めるのが順番です。
この考え方を階ごとに展開したのが、後述するアーバンネット仙台中央ビルです。2階は「杜に包まれて交流する」、3階は「杜の奥で集中し発散する」。同じ建物のなかで、過ごし方に応じて人と植物の関わり方を変えています。

過ごし方に合わせて、緑の入れ方を変える(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
朝の動線、お昼の動線、打ち合わせに向かう動線。人の動きに合わせてレイアウトを練っていきます。
オフィス緑化の事例
ここからは、わたしたちが実際に手がけたプロジェクトを紹介します。
オフィス緑化の事例① シーバンスN館 エントランス — 5メートル級のシンボルツリー
人の行き交う芝浦周辺のビジネス街と、街に根付いた緑地や運河を臨む立地にある、NTT都市開発のオフィスビルです。コンセプトは「KITEN(起点)」。ひとつの水の波紋が何層にも連なり大きな水の流れを生み出すように、この場所をきっかけとして人が集まり、それぞれが自分の過ごし方を見つけていく。そんな思想を、運河という街を象徴する水の風景から着想して形にしました。
エントランスには5メートル級のシンボルツリー(ベンジャミン)を据え、約2.5メートルのガジュマルとともに空間の軸をつくっています。運河の水風景を表現した有機的な曲線のプランターとカーペット、水の音と視覚効果を統合した照明。ベンチは2名掛け、4名掛け、6名掛けの3パターンを用意し、人数や過ごし方に応じて選べるようにしました。屋外のランドスケープで使う手法を、室内に応用した事例です。詳しくはシーバンスN館 エントランスの事例ページへ。

運河の水風景から着想した「KITEN(起点)」(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
オフィス緑化の事例② アーバンネット仙台中央ビル — 階ごとに過ごし方を変える
2024年3月14日に開業した、NTT都市開発株式会社のオフィスビルです。「緑に誘われて集い、交流し、集中する 杜の都・仙台を象徴するオフィスビル」を方針に、parkERsは2階のコワーキングスペースと3階のワーカーズラウンジを担当しました。
特徴は、階ごとにコンセプトを変えていることです。2階は「杜に包まれて交流する」、3階は「杜の奥で集中し発散する」。同じビルのなかで、求められる過ごし方に応じて空間の性格を変えています。植栽にはシラカシ、カクレミノ、シロダモ、ヤブツバキ、スダジイ、タブノキなどの郷土種を混植。什器には宮城県産ナラの集成材天板を使い、伊達冠石で地元産材のサインを設けました。約4メートルのロングテーブル、最大6名のブース席など、人数に応じた居場所も用意しています。詳しくはアーバンネット仙台中央ビルの事例ページへ。

2階は交流、3階は集中。階で性格を変える(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化の事例③ 株式会社ピーオーリアルエステート — 五感で考えるオフィス緑化
「感受性スイッチを刺激する、オフィス緑化リノベーション」と掲げた、まさにオフィス緑化そのもののプロジェクトです。クライアントとの協議のなかで印象的だった美・アート・感性という要素を空間に表現し、社員が心豊かに働くきっかけをつくることを目指しました。コンセプトは感受性のスイッチを全開にすること。
この事例が示しているのは、オフィス緑化は視覚だけの話ではないということです。人が集まるマグネットスペースとしてカウンターを設け、天板には無垢材のミミ付きを採用。ロゴサインの上にはデザイナーズ照明、天井には職人技を感じる吹きガラスのペンダント。葉の艶や瑞々しさ、陰影といった植物のさまざまな表情にフォーカスしたアートパネルや、朝日をイメージしたグラフィックカーテンも取り入れました。
さらに、集中して働くエリアには大きな木影が揺らいだり、季節の花や公園の香りを感じられる仕掛けを。他人を柔らかく感じたい場所には水音を置いています。光、影、香り、音。視覚以外の手がかりを設計に入れると、同じ植物の量でも空間の密度が変わります。新芽が出たりツルが伸びたりして、少しずつ変化していくオフィスです。詳しくは株式会社ピーオーリアルエステートの事例ページへ。

光と影、香りと音まで設計する(株式会社ピーオーリアルエステート/parkERs施工事例)
オフィス緑化の事例④ トヨタ自動車 Genki空間® — エビデンスを積み重ねる
トヨタ自動車の電気自動車(EV)事業の専門組織「次世代BEV開発部門」オフィスの一画です。緊張感がともなう先進的な業務の合間に、心を和らげるような空間をつくりたい。そうした想いから始動しました。parkERsは、トヨタ自動車株式会社 未来創生センター・株式会社豊田中央研究所が共同で進めるGenki空間®研究において、空間デザインの提案および施工に携わってきました。
感覚も重視しながらエビデンスを積み重ねて、緑のフォーカスエリアを設計している点が特徴です。オフィス緑化の効果は体感として語られがちですが、検証を重ねながら形にしていく取り組みでもあります。詳しくはトヨタ自動車 Genki空間®の事例ページへ。

効果を感覚だけで終わらせず、エビデンスを積み重ねる(トヨタ自動車 次世代BEV開発部門 Genki空間®/parkERs施工事例)
オフィス緑化の事例⑤ NAKANIWA — はたらく場に“中庭”の心地よさを
東京都千代田区霞が関に本社を構える中央日本土地建物さまのワークプレイス「NAKANIWA」です。『はたらく場に“中庭”の心地よさを』という思いをベースに、株式会社竹中工務店さまと協力して空間デザインを提案しました。
この事例で特筆したいのは、parkERsの業務内容にコンテンツ提案(アロマ・サウンドコンテンツ)が含まれていることです。オフィス緑化を「植物を置くこと」と捉えると視覚の話で終わりますが、空間として考えると設計できることは増えます。詳しくはNAKANIWAの事例ページへ。

はたらく場に、中庭のような居場所をつくる(NAKANIWA/parkERs施工事例)
オフィス緑化の事例⑥ JT本社ワークプレイス「ときの森」 — 竣工後も続く
虎ノ門エリアの高層タワー30階に竣工した、JT(日本たばこ産業株式会社)のオフィスです。「事業を支える自然由来の原材料に感謝し、環境を大切にしていきたい」と森林保全活動を進める施主さまの想いを受け、全国9ヶ所にある「JTの森」(※2022年9月時点)に自生する樹木の苗木を用いた空間づくりをご提案しました。全長約25メートルの窓辺のベンチに、9つの森それぞれの樹種を混植しています。
parkERsの業務内容には、植栽デザイン・施工や灌水計画・施工に加えてソフトサービスの企画・運営が含まれます。空間をつくって終わりではなく、季節のイベントなどを通して使われ方まで一緒に育てていく。オフィス緑化が長続きするかどうかは、この竣工後の関わり方で決まります。詳しくはJT本社ワークプレイス「ときの森」の事例ページへ。

つくって終わりではなく、使われ方まで育てる(JT本社ワークプレイス「ときの森」/parkERs施工事例)
このほかの事例はparkERsの施工事例一覧からご覧いただけます。
オフィス緑化を失敗させないために
「前に観葉植物を入れたけれど枯らしてしまった」。オフィス緑化のご相談で、最もよく伺う話です。原因は植物の種類ではなく、ほとんどの場合、進め方にあります。

枯れるかどうかは、置いたあとではなく設計の段階で決まる(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化は「光と風」から計画する
室内緑化の成否は、置きたい場所ではなく「光の届く場所」から考えられるかどうかで決まります。窓からの距離、方位、室内照明の照度によって、健やかに育つ植物は変わります。基本的に室内は植物にとって光量が足りない環境で、同じフロアでも窓際とフロア中央ではまったく別の条件です。
光が足りない場所には照明を計画に組み込みます。また、植物が元気に育つためには風通しも重要な要素です。「ここに緑がほしい」から始めるのではなく、「どこに光が届くか」「風の通り道はあるか」を把握したうえで、人の居場所と緑の居場所を重ねていく。この順番を守るだけで、失敗の多くは防げます。
照度は、図面の上では同じ「室内」でも場所によって驚くほど違います。だから設計の初期には実際に現地で光の入り方を確かめ、朝と昼と夕方で条件がどう変わるかまで見ておきます。ブラインドの開け閉めや、隣接するビルの影の落ち方まで含めて、その場所の一日を把握しておく。緑を置いたあとで「思ったより暗かった」と気づいても、打てる手は限られます。

どこに光が届くかを把握してから、緑の場所を決める(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化の水やりを担当者の努力に頼らない
次に多いのが水です。室内の水やりは土の渇き具合や照度・空調を踏まえた判断が必要で、知識と経験が求められます。ところが実際の現場では、総務や管理のご担当者が本来の業務のかたわらで水やりを担うことになりがちです。忙しい時期に忘れられ、気づいたときには手遅れ、というのはよくある話です。
だからわたしたちは、水やりを「頑張って続けること」ではなく「仕組みで解くこと」と考えます。parkERsでは、職人の経験とIoT技術を組み合わせた室内緑化オートメーション管理システム「IMoS」を日本特殊陶業株式会社と共同開発し、各種センサーで水位や温度・湿度・照度をモニタリングしながら、自動灌水と連動させる仕組みを育ててきました。設計段階で給排水や電源の位置まで計画に入れておくと、その後の負担は大きく変わります。
水と並んで効いてくるのが土です。parkERsでは「地球を掘削しない土」をコンセプトに、ココヤシガラやコーヒーの豆かすなど廃棄予定の資源からつくる植物用培養土「parkERs soil」を、株式会社プロトリーフ開発部の協力を得て開発しました。軽量で扱いやすく、山の土を含まないため室内でも衛生的で、可燃ごみとして処分できます。2019年のリニューアルでは千葉県産の竹炭を低温焼成して配合し、通気性と排水性を高めました。2020年にはグッドデザイン賞を受賞しています。詳しくはparkERs soilの紹介ページへ。

水やりは努力ではなく、仕組みで解く(トヨタ自動車 次世代BEV開発部門 Genki空間®/parkERs施工事例)
オフィス緑化は維持の体制を先に決める
そして最も多い失敗が、初期費用だけで判断して、維持の体制を決めないまま進めてしまうことです。竣工後に誰がどう手を入れるのかが決まっていないと、数年で荒れた風景になります。
わたしたちは植物のメンテナンスを「枯れたら交換する作業」ではなく「育てるメンテナンス」と捉えています。剪定や施肥で植物を育てながら、季節とともに表情が変わっていく空間を保つ。「あの木、伸びたね」という何気ない会話が生まれたら、そのオフィスはもう風景ではなく、公園になりはじめています。
そのために、植物由来のメンテナンスオイル「Grow Green」など、日々の手入れのための道具も自社で育ててきました。定期メンテナンスでは水やりだけでなく、葉の状態や新芽の出方から、その環境が植物に合っているかを読み取ります。合っていなければ、配置や樹種を見直す。置いて終わりではなく、竣工後も空間と植物の相性を調整しつづけるのが、わたしたちの考えるメンテナンスです。

光、風、水。この3つを設計に入れておく(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化の費用を左右する要素
費用はオフィスの条件と計画の内容によって幅が大きいため、一概に「坪いくら」とは言えませんが、見積もりを左右する主な要素は決まっています。
- 面積と植栽のボリューム — 広さより、どれだけつくり込むかで変わります
- 手法の選択 — 置き型の鉢なのか、什器一体型なのか、工事を伴う計画とするのか
- 給排水・電源などインフラ工事の有無 — 自動灌水を入れるなら、この計画が要ります
- 環境 — 植物育成用の照明が必要かどうか、風通しの有無など
- 造作什器の有無 — 植栽と一体のカウンターやベンチをつくるかどうか
- 内装工事との関係 — 移転やリニューアルと同時か、既存オフィスへの追加か
- メンテナンス契約の範囲 — 竣工後の維持をどこまで含めるか
見落とされやすいのが、最後の維持費です。初期費用だけで判断すると、数年後に「維持できないから撤去」という結果になりかねません。IMoSのような自動化の仕組みは、この維持にかかる人の手を減らすために開発されたものです。
見積もりを早く正確にお出しするために、フロアの図面、現況の写真、移転やリニューアルの予定、そして「何を解決したいか」の4つをご用意いただけると、話が早く進みます。予算の考え方についてはparkERsのよくある質問でも触れています。

つくり込みの度合いが、費用を大きく左右する(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化は小さく始めて広げられる
全面的な導入が難しい場合、エントランスやリフレッシュスペースなど一区画から始めて、効果を確かめながら広げていく方法があります。社内の合意を得るうえでも、最初の一区画が判断材料になるのは大きな利点です。写真で説明するより、実際にその場に立って空気が変わったことを体感してもらうほうが早い。次の予算を通すときに、説得の材料が社内にあるという状態をつくれます。

一区画から始めて、効果を確かめながら広げる(株式会社ピーオーリアルエステート/parkERs施工事例)
オフィス緑化の進め方
parkERsでは、次の流れでプロジェクトを進めています。
- 課題抽出 — そのオフィスで何に困っているか、どんな時間をつくりたいかを言葉にする
- 現況確認 — 光、給排水、動線、レイアウト、既存什器の条件を読む
- コンセプト・デザイン提案 — 3Dモデルやパースで完成イメージを共有する
- 設計 — 植栽・什器・照明・灌水まで含めて図面化する
- 施工 — 内装と植栽を一体で仕上げる
- 植栽メンテナンス — 「育てるメンテナンス」で空間を育てていく
ご相談のタイミングは、内装の設計が固まる前が理想です。給排水や電源が必要になる場合、工事が進んでからでは対応が難しくなります。すでに完成しているオフィスでも、可動式のプランターや什器一体型の植栽、照明の入れ替えといった方法で印象は変えられます。
オフィスづくり全体の進め方はオフィスデザインの記事に、見た目の整え方はおしゃれなオフィスの記事にまとめています。建物の外まで含めて考えたい場合はランドスケープデザインの記事を、サービスの詳細はparkERsのサービス紹介ページをご覧ください。

内装と植栽を、はじめから一体で考える(NAKANIWA/parkERs施工事例)
オフィス緑化のよくある質問

条件に応じた進め方があります(アーバンネット仙台中央ビル/parkERs施工事例)
オフィス緑化の費用はどのくらいかかりますか?
面積と植栽のボリューム、手法の選択、インフラ工事の有無、光環境、メンテナンス契約の範囲によって大きく変わるため、まずはオフィスの現況を拝見して概算をお出しするのが確実です。フロアの図面と写真、移転やリニューアルの予定があるかをお知らせいただけると、初回から具体的なお話ができます。エントランスなど一区画から始めて、効果を確かめながら広げていく進め方もよく選ばれています。
小規模なオフィスでもオフィス緑化はできますか?
できます。むしろ小規模なオフィスほど、一角の変化がフロア全体の印象を変えるため、投資対効果を感じやすくなります。席を減らしたくない場合は、什器一体型の植栽や吊りの緑、パーテーション代わりのグリーンという方法があります。床面積を使わずに、視界の風景を変えられます。
賃貸オフィスでもオフィス緑化はできますか?
できます。実際のプロジェクトのほとんどは賃貸物件です。床荷重・避難動線・原状回復の条件をビル管理会社と確認しながら、可動式のプランターや什器一体型のつくり方で対応します。床や壁に手を入れられない場合でも、置き型の植栽や照明の入れ替えで印象は変えられます。
オフィス緑化の水やりは誰がやるのですか?
専門スタッフによる定期メンテナンスをご利用いただくのが一般的です。加えて、自動灌水の仕組みを導入すると日常の水やり作業そのものを減らせます。総務や管理のご担当者が本業のかたわらで水やりを抱え込む状態は長続きしにくいため、設計の段階で維持の体制まで決めておくことをおすすめします。
窓のない・日当たりの悪いオフィスでも植物は育ちますか?
育てられます。耐陰性の高い樹種の選定と、植物育成用の照明計画を組み合わせることで、自然光の少ない空間でも対応できます。ただし「どんな植物でも置ける」わけではないので、空間の条件を先に確認したうえで、その環境に合う植物を選ぶことが重要になります。
parkERsが室内の緑化で使ってきた植物には、シェフレラ、タニワタリ(アビス)、タマシダ、プテリス、コウモリランなど、比較的光の少ない環境に耐えるものがあります。ただし同じ樹種でも、その場所の照度と風の条件によって向き不向きは変わります。カタログから選ぶのではなく、現地を見てから決める部分です。
フェイクグリーンでもオフィス緑化の効果はありますか?
視覚的な効果は一定程度期待できますし、光がまったく届かない場所では現実的な選択肢です。ただし、研究で示されてきた効果の多くは生きた植物や自然光といった本物の自然体験にもとづくものです。人がよく過ごす場所には本物を、手の届かない高所や暗所には人工を、と使い分けるのが現実的だと考えています。
なお、紫外線による色褪せや埃によるクリーニングなど、いつまでも維持できるものではないため、大きな入れ替えなどが発生する可能性はあります。
オフィス緑化はどこから始めるのがおすすめですか?
来客と社員全員が毎日通るエントランスから始めると、効果を感じやすくなります。次いで、人が集まるリフレッシュスペースや、集中が切れたときに視線が向かう場所。どこに人の視線が集まるかはオフィスのレイアウトによって違うので、実際に現場を拝見させていただき動線を確認したうえでご提案しています。
オフィス緑化はどのくらいの期間で完成しますか?
規模と工事の範囲によって変わります。既存オフィスへの植栽の追加であれば比較的短い期間で、内装工事をともなうリノベーションであれば設計から施工まで相応の期間が必要です。いずれの場合も、内装の設計が固まる前にご相談いただくほど、無理のない計画が立てられます。
壁面や屋上の緑化もあわせて相談できますか?
できます。parkERsは空間デザイナーとプランツコーディネーターがチームを組み、室内外の両方を手がけています。壁面緑化については屋内緑化・室内緑化と壁面緑化の記事、屋上の活用については屋上緑化の記事で紹介しています。
まとめ — オフィスの中に、公園のここちよさを
オフィス緑化とは、働く場所に植物を計画的に取り入れ、そこで過ごす人の時間と空間の価値を高める取り組みです。効果は研究でも裏づけられていますが、同じ量の植物を入れても、どのように配置するかで結果は変わります。
起点になるのは、その空間で何を実現したいか。エントランス、執務席から顔を上げた先、人が集まる場所。そして光が届くか、風が通るか、水を届けられるか、誰が維持するか。この順番で考えれば、限られた予算でも空気は確実に変わります。
わたしたちparkERsは、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、空間デザイナーとプランツコーディネーターのチームで、オフィスの中に公園をつくるお手伝いをしています。parkERsのフィロソフィーもあわせてご覧ください。

オフィスが、人の集まる場所になる(シーバンスN館 エントランス/parkERs施工事例)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。「うちのオフィスでもできるかな」と思ったら、フロアの図面を1枚いただくところからお話しできますよ。
オフィス緑化をご検討でしたら、フロアの条件や、過去にうまくいかなかった経験も含めて、まずはお聞かせください。
この記事を書いた人

森 美波(Mori Minami)
株式会社パーク・コーポレーション parkERs(パーカーズ)クリエイティブ室 PR
parkERsは、「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、オフィスをはじめ室内外に“公園”をつくる空間デザインブランド。2013年、「青山フラワーマーケット」を運営する株式会社パーク・コーポレーションのもとで、Aoyama Flower Marketの姉妹ブランドとして生まれた。
2017年に株式会社パーク・コーポレーションへ入社。空間デザイン事業部「parkERs」で、「公園のここちよさ」を体現する空間づくりの実務に携わる。空間デザインとカフェ部門の広報を務める傍ら、国内外に展開する「青山フラワーマーケット」を含めた全社的なインターナルコミュニケーションの活性化にも従事。現在はparkERsのPR担当として、オウンドメディアの運営やコラム執筆、イベント企画などを通して、「人と植物のここちよい関係性」を広げるために活動している。